平成梅林整備事業、PPV対策のため苗木を処分

2013年2月8日

平成梅林のPPV感染

PPV(プラム=ポックス=ウィルス)は「ウメ輪紋ウィルス」と訳され、欧・米・西アジアでモモ、スモモ、アンズ といったサクラ属の果樹に感染し、果実が成熟前に落果するなどの被害を与える病気で、主としてアブラムシが媒介します。PPVに感染すると、葉にドーナツ 状の輪ができる症状(輪紋)などが表れますが、似た状況は他にもあり、厳密にはウィルスの検査で確認します。
平成21年に国内でPPV感染木が 確認されました。平成梅林の苗畑でも同年1品種3本の感染を発見、22年夏までに2品種5本に感染が確認されました。これらは直ちに伐採、焼却の処分が行 なわれましたが、苗穂採取元で感染が発見された21品種58本を同年末にすべて処分しました。
しかし23年にも3品種8本の感染が発見され、病害虫防除を厳重に実施している苗畑内での二次感染が危惧されました。24年6月19日には農水省と県機関との合同調査で多数の感染木が発見され、その恐れは一層大きくなりました。

本会の対応

会では、県と連絡してアブラ虫防除の強化、感染苗木の発見と処分、移動禁止に備えて強めの剪定を施す、など厳重に対応してきました。
しかし、苗畑内での感染の危惧が明らかになったことから、平成24年4月の総会で「PPVの拡大を防ぐために、平成梅林の現在の苗木をすべて伐採・抜根・ 焼却処分をすること」を要請する特別決議「平成梅林の苗木の処分について」を提案しました。偕楽園の梅の魅力を高めるために始めた事業で、本園へ感染した ら、歴史ある梅園と偕楽園の価値がなくなってしまうと考え、会員は断腸の思いで決議を承認しました。
この決議を受けて県と協議しましたが、6月 19日の農水省および県との協議で、農水省から「感染苗が出現したところ以外の処分は必要ないのではないか」との見解が示され、茨城県からは「四つの苗畑 の内、すでに感染が発見されているB畑とD畑は処分する必要があるが、A畑とE畑は処分の必要はないのではないか。この二つについては県が責任を持って管 理したい。」との意見が示されました。
会では7月23日と8月27日の二回にわたって役員会を開きました。多数の市民からの賛同募金をいただき、期待も大きい平成梅林整備事業だけに多くの意見が出されましたが、次のように決定しました。
①    B畑とD畑は処分し、A畑とE畑は県に移管するという県の方針を受諾する。
②    感染発見後3年間と定められている観察期間が明けるまで苗木の収集を一時休止する。
③    県に移管後も苗木の観察や育成の作業には尽力する。
④    観察期間中に、苗木の定植先と平成梅林整備事業の再開について検討する。

平成梅林の現状と今後

この結果を受けて、茨城県は平成25年2月8日にB畑とD畑の全苗木約600本を処分しました。残ったのは、A畑(20年度植栽)114本、E畑(21年 度植栽)100本です。合計約200本余が残されることになり、そのうち偕楽園と弘道館の梅林にある品種とダブっているものを除くと一一四品種が新たに収 集できたことになります。
この苗木処分は県が防除対策のため本会所有の苗木を買い上げ、国と県の負担で処分するという形で実施されたので、代金として約220万円が当会に支払われました。これは、募金の残額100万円と合わせて成木の定植と苗木収集の再開の経費に充てる予定です。

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