活動報告

18年4月20日 通常総会開催記念講演会を開催しました。

2018年5月31日【】

総会終了後、午後2時45分から茨城大学名誉教授天野一男氏による「地質から見た偕楽園公園の魅力」と題する記念講演をしていただきました。

天野 氏は自己紹介の中で、東北大学で学んでいる時に「プレートテクトニクス革命」が起こり、東北日本の新生代のテクトニクスと堆積作用を研究していったことなど研究の歩みを紹介されました。構造地質学 テクトニクスと堆積学、この両者の境界領域を攻めるものとして、伊豆半島衝突テクトニクスを「ひょっこりひょうたん島プロジェクト」として取り組んできたことを面白く紹介されました。正直言って内容は十分理解できませんでしたが、氏のお薦め本『初めての地質学-日本の地理と岩石を調べる-』(ペレ出版、1600円+税)を読めばわかるかも‥‥‥。

 

次いで、氏が深くかかわっている「茨城県北ジオパーク」について紹介されました。茨城県の地形と地質の地図を元に茨城県北のジオストーリーを語られ、その最終章が、258万年前から始まる氷河期で、氷河時代の海面変動に伴って形成された段丘地形が現在の姿を形成していること、地質年表を掲示され茨城大学理学部が深くかかわって最近話題になっている「チバニアン」について触れられて休憩に入りました。

(左画像:講演する天野一男氏)

 

(右画像:講演への質疑)

後半は偕楽園のある水戸と千波湖の地形と地質の歩みについて図を用いて詳しく説明されました。氷河期における海面に変動にともなっておこる海進と海退によって地形が作られたこと、それを示すのが堆積される土砂と火山の噴火土砂であることが説明されました。次いで、偕楽園の崖には700万年前にできた水戸層と言われる地層の上に、12.5万年前からの歴史が見られるそうです。それを関東地方全体に見方を拡げると、水戸と対岸の見和・見川の台地は、広く見ると関東地方の下末吉台地(横浜市の地層で12.5万年前の海底)と呼ばれる台地につながっていること、ここで皇居と東京駅周辺の地図を示され皇居とも同じ地層だということ、また東京駅の下には有楽町層と呼ばれる深さ30メートルの堆積物があるが、それは水戸の千波湖の下の地層と共通だと指摘されました。

退職後も独自に事務所を構えて研究とジオパーク普及活動を続けておられる天野氏の熱意と、新しい視点で見る水戸と偕楽園の歴史は新鮮な感動を与えてくれました。

 

一覧へ戻る